Sigfoxを利用した侵入検知によるパトライト点灯システム

Sigfoxを利用した侵入検知によるパトライト点灯システム

概要

広い敷地内にある侵入禁止場所への立ち入りを検出すると、管理事務所内に設置した積層灯を点灯させることで侵入があったことを管理者に通知するシステムとなります。
復数の離れた場所の情報をSigfoxデバイスを利用した無線通信LPWAを利用することで、電源や通信線の工事費用を抑制して積層灯を点灯させるシンプルな構成となっています。

状況(要件)
・侵入禁止場所は屋外に数カ所存在している
・管理事務所と侵入禁止場所との距離が1.0km以上離れている
・電源および通信のための有線工事はコスト的に現実的ではない
・監視画面や記録も不要で、侵入があったことだけ管理事務所で分かればよい
・通知手段は事務所内で積層灯が点灯すればよい
  ※要件は実際にご相談頂いた内容をアレンジしています

システム構成例

デモ動画

社内環境にて、Sigfoxデバイスへの接点入力を入れることで、積層灯を点灯させています。
Sigfoxデバイスと積層灯が直接通信を行っているわけではなく、クラウド経由で連携を行っています。
そのためSigfox電波が入る場所であれば、どこに設置しても遠隔地の情報が積層灯で確認できます。

侵入検知からのクラウド送信

侵入禁止場所は復数存在し、それぞれ1km以上離れた場所にあるため電源や通信線の工事はコスト面から避けたい状況にあります。
そこでLPWA(Sigfox)により省電力で長期間接点信号を送信できるオプテックスコンタクトドライコンバーターと、赤外線にて人の侵入を検出可能な人感センサを組み合わせた構成としました。

Sigfoxデバイス自体は内蔵電池により5年以上駆動することが可能ですので電源工事が不要です。
侵入センサには低消費ながら電力供給が必要ですので、太陽光発電パネルとバッテリーを組み合わせた電力供給とします。

人感センサが人の侵入を検出すると接点出力を行いますので、その信号をSigfoxデバイスに入れることで侵入検知信号をSigfoxクラウドに送信させます。

積層灯での通知方法

管理事務所内に設置したゲートウェイ端末内で、連携用アプリケーションを稼働させます。
連携用アプリケーションはSigfoxクラウドと定周期通信により、侵入禁止エリアに設置済みのSigfoxデバイスの情報を取得します。
今回はOptexドライコンタクトコンバータが送信してくる人感センサの検出信号(ON、OFF)を取得することになります。

取得した信号の値がONであれば、人感センサが反応したということで、ゲートウェイ端末に接続した積層灯のランプを点灯させる制御出力を行います。
積層灯はModbus通信で外部から制御できるタイプのものを利用して、連携用アプリケーションにて予め設定しておいた内容にて出力を行わせます。

例)
・A地区のデバイスがON → 1段目を赤点灯
・B地区のデバイスがON → 2段目を赤点灯

なお、連携用アプリケーションはインターネットを通じてSigfoxクラウドからデータを取得しますのでネット接続環境が必要となります。
小型PCをSIM内蔵タイプとすることで、ネット回線の用意が不要な構成も可能です。ただし、その場合にはSIM通信の月額費用が発生するため、お客様環境ですでにネット回線が準備されている場合は、その回線を利用することを推奨します。

機能拡張パターン

監視点数が増えてきた場合は積層灯での表示パターンの限界がありますので、モニタを用意して監視画面でのグラフィック表示を行う事が望ましいです。
また、侵入時刻や場所などの情報を記録して別途レポートとして出力する必要がある場合は警報データ蓄積機能とデータ出力機能(CSV、PDF)を設けることも考慮したいところです。

・侵入があった場所を地図上で表示
・侵入時刻などの履歴データを保存
・異常記録の出力(CSV、PDF)

本構成のポイント

一般的にはPC画面などで警報状態を表示するアプリケーションを構築することが多いです。
今回の場合は、監視点数が少なく通知も極力シンプルとしたい要件でしたのでPC画面を設けずに積層灯の表示だけで通知を行う非常にシンプルな構成になっています。

アプリ開発を行わずメール通知で済ませる場合もありますが、長期運用時は通知先メールアドレスの変更などの変更なども必要となりますので、単に積層灯の点灯であれば保守面では非常に手間の掛からない構成と考えます。

また侵入検出センサ、および通知用積層灯も移動させることが可能ですので、常設施設だけではなく工事などの一時的な利用でも利用可能と考えます。

適用ケース(案)
・水処理施設における採水上への侵入検知
・工場やプラント施設における海岸部への釣り人の侵入検知
・工事区画への立ち入り検知

本構成のデメリットとしては、Sigfox通信を利用しているので1日あたり140回の通信回数の制約があるため1デバイスあたり1日140回以上の侵入があるケースでの利用は行なえません。
(1日=1,440分/140回=10分に1回の送信が必要なケース)
その場合は回数制限のない無線通信方式(LTE-M、LTE、LoRa)での構成を検討する必要があります。